そして、場所探しが始まった

「家が欲しい」の次に来たのは「どんな家を買えばいいの?」だった

前回、私たちが欲しかったのは家そのものではなく家族で帰れる場所だったという話を書きました。

欲しいものは決まりました。決まったんですが、そこで完全に止まりました。

で、どんな家を買えばいいの?

家を買ったことがない。物件情報の見方も分からない。
何を調べれば「良い家」のかも分からない。
分からないことが分からない、といういちばん困るやつです。


まず、知っている人に聞いた

大家さんに教わった一冊

そこで、知り合いの大家業をされている方に聞いてみることにしました。中古の戸建てを何棟か持っている方です。

「何から勉強したらいいですか?」

いま思うと、ずいぶんざっくりした質問です。でも、ざっくりとしか聞けない状態だったので仕方ない。

返ってきた答えはこうでした。

不動産は出口戦略も考えて。場所選びは慎重に。
初めてなら、宮崎俊樹(サーファー薬剤師)さんの本を読んだらいいよ!

というわけで、買って読みました。
宮崎俊樹(サーファー薬剤師)著  空き家は使える!戸建て賃貸テッパン投資法【2ndエディション】
『空き家は使える!戸建賃貸テッパン投資法 2ndエディション』

基礎知識を得て少し輪郭が見えてきた

読んでみて助かったのは必要な基礎知識が、やさしい言葉で書かれていたことでした。

正直に言うと、この本は賃貸として貸すための投資の本です。我が家がやりたいこととは目的が完全に一致するわけではありません。

それでも知人大家さんが言っていた出口戦略、つまりリセールを意識することを知って「家を買う」という行為の全体像が、ぼんやりとでも見えるようになりました。
何も分からない状態から、なんとなーく分かるレベルへ。この「なんとなーく」がとても大きかったです。


我が家が決めた、3つの最低条件

輪郭が見えてきたので、次は条件です。
あれもこれもと欲しいものを並べると、たぶん一生決まらない。なので、「これを満たさないなら見ない」という線を先に引くことにしました。

① 片道3時間まで

片道最長3時間。
これより遠いとたぶん「行くのが億劫」になります。
私たちが欲しかったのは「今日は何もしない」ができる場所なので、着く前に疲れていたら意味がないからです。

② 電車で行けて、乗り換えは2回まで

私は東北育ちなので車の免許は持っている。
実はアレックスも日本の免許を持っている。
でも維持費を考え今車を持つ選択肢はありませんでした。
行くたびにレンタカーも行くというのは、行くハードルが高くなってしまうと思ったので排除。気にせずお酒呑みたいですし。笑

そして五ヱ門は2歳。荷物もあります。
乗り換えが増えるほど、階段があり、待ち時間があり、機嫌の谷が来る。回数そのものがコストでした。

③ 現金で買える

ローンを組まない、という線引きです。

理由はシンプルで、我が家にとってこれは「暮らしを良くするための家」であって、無理をして持つ家ではないからです。
ここを緩めると、たぶん判断が甘くなる気がしました。

この3つを決めたら、探すのがぐっと楽になりました。条件は、増やすためじゃなく、減らすために決めるものなんだなと思います。


ひたすら物件サイトを眺める日々

見ていたエリア

条件が決まってからは、アットホーム、ホームズ、楽待を、ヒマなときにひたすらチェックする日々です。通勤中とか、五ヱ門が寝たあととか。

エリアはこのあたりに絞っていました。

  • 東京都の多摩方面
  • 千葉
  • 神奈川
  • 栃木
  • 熱海あたり

「片道3時間・乗り換え2回」で届く範囲を、ざっくり東西南北に広げた形です。

気になる物件はGoogleマップで経路をチェック

気になる物件が出てきたら、必ず自宅からその物件までをGoogleマップで調べる、というのを習慣にしていました。

これがけっこう面白くて。

「へぇー、ここって意外とアクセス良いんだ」
「うわ、ここは移動だけで半日潰れるわ」

同じ「◯◯県」でも、行きやすさが全然違うんです。
地図の上では近そうなのに、乗り換えが多くて実際は遠い場所。逆に、遠そうに見えて一本で行ける場所。

距離って、キロ数じゃないんだなと、このとき初めて実感しました。


想定外の角度の物件が出てきた

そんなことを続けていたある日、サイトにこんな物件が出てきました。

栃木県日光市。特急が停まる駅から、徒歩15分。

場所を見て、あ、と声が出ました。

ここ、1年前に家族で行ったことがある街だ。

1年前スペーシアXに乗った

実は1年前、アレックスのご両親が来日したときに家族でその街に行っていたんです。

そのとき乗ったのが特急スペーシアX。
コックピットラウンジ席が4名で2,000円、コンパートメント(個室)が4名で8,000円でそれに運賃が1000円ちょっとでした。

これが、かなり満足感が高かった。
個室で子どもがいても気を遣わず、着く頃には旅が始まっている感じ。移動が移動じゃなくて、楽しい時間になっていたんですよね。

その記憶があったので、地名を見た瞬間に反応してしまったわけです。

行くコストを計算してみた

とはいえ、毎回そんな特別な席に乗るわけじゃない。普段はスタンダード席でしょう。

なので、素の数字を出してみました。

浅草駅 → 現地の最寄り駅(通常期・スタンダード席/大人1名)

項目金額
特急料金1,940円
運賃1,393円
合計3,333円

2026年8月現在、大人1人・片道3,333円。
ということは、夫婦2人の往復で1万3千円ほど。

……あれ? 思ったより現実的な数字だぞ?

しかも本数を調べたら、その駅まで行く特急は3種類ありました。
土日は日中、おおむね30分おき。乗り換えなしで、片道2時間。


「年に2回」→「年に12回」へ!

ここでピッピに投げてみました。

まい:「ピッピ、これなら結構現実的じゃない??」

ピッピ:「かなりアリ!面白いのは金額より、“回数”のほう。片道2時間で乗り換えなし、しかも30分おきに出てるってことは『行こう』と決めてから家を出るまでのハードルがすごく低い。年に2回しか行けない場所と、月に1回行ける場所、同じ家でも役割が変わると思う。」

まい:「ね。ぜんぜん別物!」

これが、私の中でいちばん大きかった瞬間でした。

「年に2回の特別なセカンドハウス」ではなく、
「土日にちょっと、あの街へ行く」という選択肢が、急に現実味を帯びてきたんです。

そしてもうひとつ。
このくらいの距離なら、DIYで直しに行くことができる。

家を買って業者さんに全部お願いして、完成したら使う——じゃなくて。
週末に行って、少し直して、帰ってくる。また次の週末に行って、少し直す。

そういう関わり方ができる距離だと思いました。


この物件の値段は?

さて、その物件の情報です。

  • 建てられた時期:新耐震基準に切り替わったころ
  • 土地面積:330㎡
  • 建物面積:90㎡

ちなみに「新耐震基準」とは、1981年6月に切り替わった、建物の地震への強さのルールのことです。
ただしこれ、建った年ではなく「建築確認を受けた日」で決まるそうで。この家がどちら側なのかは、この時まだ分かっていません。そこも含めて、このあと確認していくことになります。

で、価格が。

土地建物付き200万円以下。

……え?

さすがに自分の目を疑って、アレックスに見せました。

アレックス:「嘘だw まいも泊まった私のおばあちゃんの家、1950年代のモバイルホームでも相続の時25万ドル(日本円で3000万円 )で売れたんだよ?」

まい:「……えっ」

アレックス:「この家、1万2千ドルってこと??海外にも名前が知られてる観光地なのに?そんな値段で買えるわけがないよ。なにか落とし穴があるんじゃない??」

まい:「……それは確かにそう」

※モバイルホームは、日本でいうトレーラーハウスに近い住宅のことです。金額は1$=¥150で計算しています(2026年8月時点)。

え。州都から車で1時間半かかるおばあちゃんのモバイルホームにそんなに資産価値が!
…というのは置いておいて、そうなんですよね。

うまい話には、だいたい理由がある。
安いなら安いなりの、そうなっている事情が必ずあるはずです。

浮かれたまま突っ込むのはさすがに怖い。というわけで、次にやることは決まりました。


次回、『落とし穴はどこにあるのか』

  • なぜこの値段なのか
  • 何を確認すれば「確認したことになる」のか
  • 素人の私たちに、どこまで見抜けるのか

浮かれた気持ちを一回そこに置いて、疑うところから始めます。

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